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《被告エイベックスの本件専属契約違反の有無について、裁判所の判断》



C-JeSとavexの裁判について (資料元:裁判所サイト
平成25年1月18日判決言渡は、全101ページあります。

《主文》事件名・原告名・被告名 1ページ~3ページ 
事実及び理由
第1 請求 3ページ~4ページ
 1 第1事件 / 2 第2事件 / 3 第3事件 / 4 第4事件
第2 事案の概要 4ページ~16ページ 
第3 争点に関する当事者の主張 16ページ~72ページ 
第4 当裁判所の判断 72ページ~101ページ
 1 被告エイベックスの本件専属契約違反の有無(争点1-1)について 72ページ~83ページ
 2 第1事件について 83ページ~87ページ
 3 第2事件及び第4事件について 87ページ~88ページ
 4 第3事件について88ページ~101ページ
第5 結論(主文のとおり判決する)101ページ

上記より、《当裁判所の判断》とそれに対応する《請求》を合わせてまとめました。
下記タイトルをクリックでご覧ください。
 《主文》
 《被告エイベックスの本件専属契約違反の有無についての裁判所の判断》
 《第1事件について裁判所の判断 + 第1事件に対する請求》
 《第2事件及び第4事件について裁判所の判断+ 第2事件及び第4事件に対する請求》
 《第3事件についての裁判所の判断+ 第3事件に対する請求》



《被告エイベックスの本件専属契約違反の有無について裁判所の判断》


第4 当裁判所の判断

1 被告エイベックスの本件専属契約違反の有無(争点1-1)について

(1) 前提事実(3)のとおり,原告シージェスと被告エイベックスは,平成22
年2月26日,本件専属契約を締結したが,後掲の証拠等によれば,本件専
属契約締結後の事情として,以下の各事実がそれぞれ認められる。

ア サンケイスポーツ新聞は,平成22年5月29日,原告甲について,
(P73)
「人気韓流スターの元マネージャーだったが,このスターを脅迫して実刑
判決を受けたことがあり,暴力団とのつながりもあるという」との記事を
掲載した。
(乙42)

イ 被告エイベックスは,上記の記事に記載された事実関係を調査し,原告
甲が記事に対応した前科があることを確認した。被告エイベックスは,平
成22年6月,社内協議の結果,本件専属契約を合意解除してJYJとの
直接契約とする方針とし,原告シージェスに対し,その旨を伝えたが,原
告シージェスはこれを拒否した。
(甲86,87,乙41,証人X,証人Y)

ウ 被告エイベックスは,平成22年6月下旬,原告シージェスを代理した
韓国法律事務所である法務法人世宗に対し,同年8月に予定されていた
「a-nation '10」へのJYJ出演中止のプレスリリース案を送
付し,同年7月2日,同月5日夕方にはプレスリリースを行う旨をメール
により通知した。当該プレスリリース案の内容は,以下のとおりであった。
「本年8月21日および22日(大阪:長居スタジアム)ならびに8月2
8日および29日(東京:味の素スタジアム)に開催予定の『a-nat
ion'10』において,B/A’/C’の出演を中止することといたし
ましたので,お知らせいたします。
日本において現在B/A’/C’のマネジメント業務を行っているC-
JeS ENTERTAINMENT CO.,LTD(以下C-JeS
社)の代表者が,暴力団幹部を父親にもち,その威力を背景に担当アーテ
ィストを恐喝し,強要罪で実刑判決を受け服役していたとの報道につき,
当社は事実関係を調査しておりました。
その結果,現時点での暴力団との関係こそ明らかではないものの,その
他につきましては上記報道がすべて事実であることが判明いたしました。
(P74)
当社はコンプライアンス重視,企業倫理遵守の経営方針から,C-Je
S社およびその代表者がB/A’/C’のマネジメントに関与している限
り,彼らのアーティスト活動を見合わせるべきと判断いたしました。(以
下省略)」
(甲34の1及び2,甲86,87,乙41,証人X,証人Y)

エ 法務法人世宗は,平成22年7月5日,被告エイベックスに対し,原告
甲との確認事項として,①原告シージェスが本件専属契約を解約する意思
があること,②原告シージェスはJYJが被告エイベックスと契約するこ
とに異議がないこと,③JYJは「a-nation '10」に出演する
ことを願っているため,出演中止のプレスリリースをする必要はないこと
などをメールにより通知した。そのため,被告エイベックスは,同日予定
していたプレスリリースを中止した。
(甲87,90,乙41,43の1及び2,証人X,証人Y)

オ その後,原告シージェスと被告エイベックスとは,本件専属契約の合意
解約を交渉したものの,特段の進展がなかった。そこで,被告エイベック
スの代表取締役であるZは,平成22年8月22日及び同月30日,直接
JYJと話し合いをしたが,JYJは,被告エイベックスとの直接契約を
拒否した。そのころ,Zは,JYJとS.M.との訴訟が係属するソウル
中央地方法院あてに,同月29日付け確認書を作成して提出した。当該確
認書には,「弊社としては,今までも今の東方神起を作りあげるため共に
歩んできたエスエムエンタテインメントとの契約を通じて,東方神起の日
本活動を展開するのが最善だと考えています。そのためには早急に3人と
エスエムとの専属契約は有効という判決が下されることを,弊社は強く希
望しています。」と記載されていた。
(甲86,87,91,乙41,証人X,証人Y)

カ 被告エイベックスは,平成22年9月1日,法務法人世宗に対し,JY
(P75)
Jが直接契約を拒否したことを前提として,本件専属契約の解除合意書を
修正して送付するとともに,合意解除についてのプレスリリース案を送付
し,同月7日プレスリリース予定である旨をメールにより通知した。
メールにより通知された解除合意書の修正案の概要によれば,金銭の精
算について,原告シージェスは,受領した契約金のうち,未経過分3億8
669万3334円を被告エイベックスに返還し,他方,被告エイベック
スは,同年4月1日から同年6月30日までのアーティスト活動による収
益分配金2億1701万1575円を分配するものとし,被告エイベック
スが上記返還金と分配金を相殺する結果として,原告シージェスが被告エ
イベックスに対し,相殺後の残額1億6968万1759円を支払うとい
うものであった。
上記メールには,注記として以下のような記載があった。「ご不満かも
しれませんが,本件契約終了については,その理由を明確にした対外発表
を行わなければなりません。本件解除は当社の売上および利益,ならびに
株価に大きな影響をおよぼす事項であり,東京証券取引所や監査法人の指
導,上場企業としての情報開示義務がございます。また,東方神起および
JJYを応援してくれているファンに対する説明責任も重大です。先生方
や甲代表は,従前の当社のプレスリリース案について『脅迫である』『事
実と違っている』などと評されておりましたが,当社の発表する内容にい
ささかの悪意も誤記もございません(ございましたら具体的にご指摘くだ
さい)。」
そして,当該メールに添付されたプレスリリース案の内容は,以下のと
おりであった。
「B/A’/C’の専属契約に関し,メンバーと当社間で協議の結果,本
年8月31日付にて合意解除することとなりました。
日本において現在B/A’/C’のマネジメント業務を行っている韓国
(P76)
法人C-JeS ENTERTAINMENT CO.,LTD(以下C
-JeS社)の代表者が,暴力団幹部を父親にもち,その威力を背景に担
当アーティストを恐喝し,強要罪で実刑判決を受け服役していたとの報道
につき,当社は事実関係を調査しておりました。
その結果,現時点での暴力団との関係こそ明らかではないものの,その
他につきましては上記報道がすべて事実であることが判明いたしました。
当社はコンプライアンス重視,企業倫理遵守の経営方針から,C-Je
S社およびその代表者がB/A’/C’のマネジメントに関与している限
り,彼らとの専属契約を継続すべきではないと判断いたしました。(以下
省略)」
(以上につき甲34の4及び5,甲87)

キ その後,法務法人世宗は,平成22年9月3日,被告エイベックスに対
し,合意解除の条件について,契約金の返還に関する被告エイベックスの
意見は大部分反映するようにするが,契約期間が解除された以降に,被告
エイベックスにおいてCD等が販売されることを望んでいないことなどを
内容とする意見を提示するとともに,上記プレスリリース案について,原
告甲の名誉を毀損し,JYJの今後の活動に影響を与えるものであるなど
として反対する旨をメールにより通知した。そして,法務法人世宗は,同
メール中に「当方の依頼人らは,貴社がプレスリリースをC-Jes社と
の契約解除およびJJYとの直接契約締結を強要するための武器であると
認識しております。」と記載した。
これに対し,被告エイベックスは,同月8日,プレスリリースが「C-
Jes社との契約解除およびJJYとの直接契約締結を強要するための武
器であると認識している」旨の記載は,全く的外れな思い違いであり,J
YJが被告エイベックスよりも原告シージェスを選んだという現実を真摯
に受け止めているとし,被告エイベックスが契約解除後にCD等を販売で
(P77)
きないものとすることは,重大な契約条件の事後変更であり容認できない
旨,プレスリリースをどうしても出して欲しくないということ及び解除後
の被告エイベックスによるCD等の販売中止が解除の条件として譲れない
のであれば,合意解除は不可能である旨を,メールで法務法人世宗宛てに
通知した。
法務法人世宗は,同月9日付けのメールで,被告エイベックスに対し,
プレスリリースについて,解除の事実以外に解除理由を公開することは依
頼人としては絶対に認められないこと,解除以後のCDの発売は,収益分
配や曲の活用等において被告エイベックスが中立的な合意方法を提案する
ことを前提として要請を受け入れることなどを通知した。
被告エイベックスは,同月13日,法務法人世宗に対し,原告シージェ
スが新たに被告エイベックスにとって不利益な合意解除の条件を付け加え
たなどとして,解除をあきらめるとし,契約の不利益変更をして解除する
くらいならば,契約金の返還を放棄してでも契約を継続した方がよい旨,
留保している分配金については速やかに支払う用意がある旨を通知すると
ともに,活動休止のお知らせとしてプレスリリースをする旨通知した。プ
レスリリースの理由としては,「これは,何かを要求するための脅しでは
けっしてありません。また,貴法人の承諾を得るべきものではありません。
これ以上,東京証券取引所や監査法人や株主に秘匿しておくことはできな
いのです。また,ファンに対しても9月以降3人が日本で活動していない
ことを説明しなければなりません。」と記載した。
(以上につき甲87,89の1~4)

ク 法務法人世宗は,平成22年9月15日,被告エイベックスに対し,原
告シージェスがプレスリリースを含めて被告エイベックスの提示する合意
解除の条件を受け入れる旨をメールで通知した。ただ,プレスリリースに
ついては,将来そのような発表による法的責任の問題は残るとしていた。
(P78)
これに対し,被告エイベックスは,同月16日,法務法人世宗に対し,
「たいへんありがたいものであると感謝する一方,たいへん意外なもので
あり,対処に窮している」とし,本件専属契約の継続について既に取締役
会の決議がされているため,当該決議を覆すには再度取締役会の決議が必
要であり,合意解約について取締役会の決議がされた場合でも,合意解除
の条件として,「当社が発するプレスリリース等の広報対応,韓国裁判所
に出した確認書その他について,貴法人の依頼人らは名誉毀損,損害賠償
など名目あるいは刑事・民事の如何にかかわらず,提訴,仮処分およびそ
の他一切の法的措置を採らないこと。また,当社に対する批判,誹謗中傷
等をマスコミ,インターネットなど媒体の如何を問わず,あらゆるメディ
アにおいて行わないこと,また,3人にも行わせないこと」を求める旨と
ともに,同日夕刻にはプレスリリースをする旨をメールで通知し,同日,
本件公表を行った(前提事実(4)参照)。その後,被告エイベックスは,
同月29日,法務法人世宗に対し,取締役会において本件専属契約を継続
する旨の決議が再度された旨メールで通知した。
(甲34の6~8,甲86,87,証人X,証人Y)

ケ 被告エイベックスは,平成22年9月1日以降,JYJの日本における
アーティスト活動について,マネジメント業務を行うことはなかった。
(甲89の2及び4,弁論の全趣旨)

2) 以上に基づいて,被告エイベックスの本件専属契約違反の有無について
検討する。

ア まず,本件専属契約5条違反について検討するに,被告エイベックスは,
平成22年9月1日以降,JYJの日本におけるアーティスト活動につい
て,マネジメント業務を行うことはなかったのであるから(上記(1)ケ),
個別にJYJのアーティスト活動を企画・計画することを怠ったほか,少
なくともJYJに対するアーティスト活動に必要なレッスンその他の機会
(P79)
の提供及び出演業務の提供を怠り,JYJのための広告宣伝活動を怠った
ことが明らかである。
そうすると,被告エイベックスは,本件専属契約5条(1)のほか,少な
くとも同条(2)①,②及び⑤に違反したといえる。

イ 本件専属契約15条違反について検討するに,本件専属契約15条(2)
①は,被告エイベックスが,その権利,権限及び能力に照らし,本件専属
契約を履行できることを保証し,同条(2)②は,それを前提として,原告
シージェスの権利行使について支障がないことを保証する規定である。
そうすると,本件専属契約15条(2)②は,被告エイベックスの権利,
権限及び能力に照らし,原告シージェスの権利行使につき支障が生じてい
る場合を規律するものであって,本件公表のような場合を規律する規定で
はないから,被告エイベックスが同号に違反するとはいえない。
他方で,本件専属契約15条(5)は,被告エイベックス及び原告シージ
ェスは,契約期間中,本件専属契約に影響を及ぼすおそれのある行為を行
う場合には,事前に相手方と協議の上,相手方の書面による承諾を得るも
のとする旨規定する。そして,被告エイベックスは,平成22年9月1日
以降,JYJのアーティスト活動について,マネジメント業務を行うこと
はなく,同月16日,本件公表を行ってJYJの日本におけるアーティス
ト活動の休止を発表しており(上記(1)ク及びケ),当該行為が本件専属
契約に影響を及ぼすおそれのある行為であることは明らかである。しかし,
被告エイベックスは,原告シージェスの書面による承諾を得ていないので
あるから,本件専属契約15条(5)に違反したといえる。
この点,被告エイベックスは,本件専属契約15条(5)が想定している
のは,括弧書に例示列挙されているような場合である旨主張するが,この
括弧書は例示であって限定列挙ではないと解されるのであるから,被告エ
イベックスの主張は採用できない。
(P80)

ウ さらに,本件専属契約16条違反について検討するに,同条(1)は,被
告エイベックス及び原告シージェスは,自己及び相手方の名誉・声望の毀
損,並びに社会的信用の失墜を招くような言動をしてはならない旨規定す
る。
そして,本件公表は,後記4(6)のとおり,原告シージェスの代表者で
ある原告甲の名誉を毀損する摘示を含むものであるから,被告エイベック
スは,本件専属契約16条(1)に違反したといえる。

エ 最後に,本件専属契約17条違反について検討するに,同条(4)なお書
は,第三者の根拠のないあるいは誇張された主張やうわさなどによる場合
に,被告エイベックスは最大限原告シージェス又はJYJを保護しなけれ
ばならない義務がある旨規定する。
確かに,サンケイスポーツ新聞は,原告甲について,「人気韓流スター
の元マネージャーだったが,このスターを脅迫して実刑判決を受けたこと
があり,暴力団とのつながりがあるという」との記事を掲載したことが認
められる(上記(1)ア)。しかしながら,原告甲は,韓国において,別紙
認定犯罪事実記載のとおり犯罪事実が認定され,懲役8か月の実刑判決が
言い渡されたことがあるから(前提事実(10)),「暴力団とのつながり」
以外については,上記の記事は事実に基づくものであるといえる。そして,
別紙認定犯罪事実においては,原告甲は自分の父親が暴力団の副親分格で
あることを被害者に告げていた旨が認定されているのであるから,上記の
記事が「根拠のないあるいは誇張された主張やうわさ」であるということ
はできない。
そうすると,上記の記事が掲載されたことによって,被告エイベックス
において,原告シージェス及びJYJを保護する義務が生じたとはいえな
いから,その余について判断するまでもなく,被告エイベックスが本件専
属契約17条(4)なお書に違反したとはいえない。
(P81)
ところで,原告シージェスは,被告エイベックスが「根拠のないあるい
は誇張された主張やうわさ」を公表したとして,本件専属契約17条(4)
なお書に違反した旨主張するが,被告エイベックスは契約当事者であって
第三者ではなく,被告エイベックスを「根拠のないあるいは誇張された主
張やうわさ」の主体と解することはできないから,原告シージェスの主張
は理由がない。

オ 以上のとおり,被告エイベックスは,本件専属契約5条(1),同条(2)①,
②及び⑤,15条(5)並びに16条(1)に違反したと認められる。そして,
前提事実(5)のとおり,原告シージェスは,本件専属契約17条(2)に基づ
いて,本件解除をしたことが認められるから,本件専属契約の違反事項の
治癒を求める通知書が被告エイベックスに到達した平成23年1月24日
から30日を経過した同年2月23日の経過をもって解除できる状況とな
り,原告シージェスによる契約解除の意思表示が被告エイベックスに到達
した同日の翌日である同月24日には契約解除の効力が発生したものと認
めるのが相当である。
したがって,本件解除をもって本件専属契約は終了したと認められる。

(3) これに対し,被告エイベックスは,民法644条及び商法505条の規
定の趣旨からすれば,たとえ契約書に明示的に記載されていなかったとして
も,受任者において,委任の趣旨に合致する行為を行う限りにおいては,何
ら契約違反を構成しないとし,本件専属契約における委任の趣旨は,あくま
でも「被告エイベックスによるJYJの日本国内における『適正・適法』な
アーティスト活動に関するマネジメント」であるといえ,かかる委任の趣旨
に鑑みれば,本件において,韓国でのJYJのマネジメント業務を行ってい
る原告甲を巡る報道や韓国で係争中のS.M.との別件訴訟の結果次第では,
被告エイベックスが日本におけるJYJのマネジメント業務を独占的に行う
権限を失う可能性があることといった事情が判明したにもかかわらず,被告
(P82)
エイベックスがその後も漫然とJYJの日本国内におけるアーティスト活動
のマネジメントを行うことが,「適正・適法」なマネジメントなどと到底評
価することができないことは明らかであり,被告エイベックスの本件対応は,
本件専属契約の委任の趣旨に合致する,極めて適切かつ妥当な事務処理の方
法であるから,本件専属契約5条に違反しない旨主張する。
確かに,民法644条及び商法505条の規定の趣旨に照らすと,契約書
に明示的に記載されてなくとも,受任者は委任の趣旨に合致する行為を行う
ことができると解される。しかしながら,本件専属契約は,原告シージェス
が被告エイベックスに対してJYJの日本におけるマネジメント業務を委託
することが主要な目的であると解されるのであるから,マネジメント業務に
より行われるJYJの活動内容自体がコンプライアンスに反するような深刻
な事態を引き起こすようなことがあれば格別,JYJの活動内容には直接反
映することのない,原告甲の過去の経歴の存在等を理由として,被告エイベ
ックスがJYJの日本におけるマネジメント業務を行わないことが委任の趣
旨に合致するとは到底解されない。
そして,上記(1)のとおり,サンケイスポーツ新聞の記事が掲載された後,
被告エイベックスは,本件専属契約を合意解除してJYJと直接契約をする
ことを試みたものの,JYJに拒否されてJYJと直接契約をすることがで
きなくなると,最終的に原告シージェスがプレスリリースすることを含めて
被告エイベックスの提示する合意解除の条件を受け入れる旨を通知したにも
かかわらず,本件専属契約の継続について既に取締役会において決議されて
いるとして合意解除を拒否している。被告エイベックスのコンプライアンス
として,原告甲の前科等が重要な問題になるのであれば,JYJとの直接契
約ができなくとも本件専属契約の解除を優先するであろうと解されるのに,
被告エイベックスは本件専属契約の継続を選択しているのであり,このよう
な被告エイベックスの行動は,「適正・適法」なマネジメントのためであっ
(P83)
たとは到底理解できないし,かえって前記(1)の交渉の経緯に照らせば,J
YJとの直接契約などの目的があったと推認されてもやむを得ないものであ
る。
また,被告エイベックスは,韓国においてJYJとS.M.との係争があ
ることを知った上で,本件専属契約を締結したのであるから(前提事実(2)
及び(3)。また,証人Yによれば,被告エイベックスは本件専属契約の締結
についてS.M.に報告し,消極的な反応ながらも,一応の理解を得ていた
と認められる。),たとえJYJとS.M.との訴訟の帰趨について当初の
予測と異なる点が生じたとしても,訴訟の決着も見ない段階で,そのことが
マネジメント業務を行わない理由にはならない。
以上のとおり,被告エイベックスの主張は採用できない。
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